「ヤバい、風邪かなと思った時に素早く簡単に治す薬膳レシピ」
秋分を境に陰が深まり、涼燥の邪気が体をまといます。急に涼しくなり風邪を引いてしまう人も多いこの頃です。
「風邪は引き始めが肝心」と言われます。引き始めに的確な対応をすることで、悪化させずに簡単に治すことできます。
「明日大事なプレゼン、風邪引いて思う存分、力を発揮できないとヤバい!」「最近、疲れが溜まって風邪を引きやすい。」などと思っている方、是非、風邪が流行り始めるこの時期に「おかしいな」と思ったら、すぐに自分で治すことができるように「風邪の初期の治し方」を知っていてください。
食材の持つ性質を利用して身体を整えるのが薬膳ですが、私達が日頃手にする食材でも簡単に風邪に対応することができます。
● 風邪の初期症状は「ぞくぞく寒気がする風邪」と「のどの痛みがある風邪」の2パターン
風邪は上気道のウィルス感染により引き起こされます。引き始めの症状によって「ぞくぞく寒気がする風邪」と「のどの痛みがある風邪」と、大きく2通りに分けて考えていきます。そして、それぞれ治し方が異なりますので、どちらのタイプの風邪なのか見極めて治していくことが風邪の初期対策では大切です。
● 「ぞくぞく寒気がする風邪」のタイプの簡単薬膳レシピ/生姜黒糖ドリンク
漢方医学では、「ぞくぞく寒気がする風邪」は、「風寒の邪気」によるものと考えます。頭痛・悪寒・節々の痛みなどの症状を伴います。この時、毛穴が閉じていて汗をかくことがない、首の項が凝る、首回りがひやひやすると訴える人もいます。
寒気がする風邪=風寒の邪気の時には「ねぎ」や「生姜」などの食材がおすすめ。これらの香味野菜は発汗により、風寒の邪気を発散させてくれます。家にある普段の食材で薬膳を作ることができます。
生姜は、漢方薬にも使われています。辛味の発散効果だけでなく、芳香健胃薬で、吐き気止めなどとして昔から重宝されてきました。「ぞくぞく寒気がする風邪」の時におすすめしたいのが「生姜黒糖ドリンク」です。
【生姜黒糖ドリンク】
1. 生姜15gを千切りにする
2. カップに千切りの生姜を入れ、黒糖5gを入れてお湯100ccを注ぐ
飲んだ後、間もなく汗が出てきます。「辛い」くらいでお飲みください。
生姜
性味/辛・温
帰経/脾胃肺
適応・作用/風寒感冒 嘔吐 冷えによる下痢 食欲不振 乗り物酔い つわり
● ぞくぞく寒気がする風邪の漢方薬
また、漢方薬では、寒気を伴う風邪の初期には「葛根湯(かっこんとう)」が功を奏します。「おかしいな」と思ったら、お湯で溶かして飲んでください。飲むと比較的すぐに汗をかき、熱を体の外に追い出して、素早くスッキリと風邪を治すことができます。「風邪の漢方薬」をポーチにしのばせておいて、さくっと治してみてください。
●「のどの痛みがある風邪」のタイプの簡単薬膳レシピ/「牛蒡のバルサミコ酢炒め」
「のどの痛みがある風邪」は、風熱の邪気によるもので、のどがいがいがする、のどが腫れるや痛むなどの症状を伴います。
この時おすすめしたい食材は、牛蒡や菊の花など苦味のある食材。五味のうち「苦味」は、熱を取り去る作用があります。
牛蒡は中国の医薬書「本草鋼目(ほんぞうこうもく)」には、冷やす性質があり、のどの腫れをとってくれる薬膳食材と書かれています。風邪の引き始め「のどが痛い風邪」の時に食べたい「牛蒡のバルサミコ酢炒め」をご紹介させて頂きます。
日本人は金平牛蒡(きんぴらごぼう)にしたり、お味噌汁などにしたり、牛蒡を食べる機会が多いのですが、世界でも牛蒡を食べるのは日本だけで、欧米やアジアの地域の人たちからは食べることを不思議がられることもあります。
植物の持っている性質に、根のものは人間の根の部分(下半身)、体の内側に働きかけるものが多く、牛蒡は腎に働きかけ、強精作用があるとされています。しかし、牛蒡は不思議と、根っこでも、体の上部や表面にも働きかけ、風邪を発散してくれます。のどが痛い時に、秋が旬の菊の花と合わせると更にスッキリします。
【牛蒡のバルサミコ酢炒め】
1. 牛蒡1本をささがきに切りアクを取る。
2. オリーブオイルをフライパンに敷く。
3.牛蒡をフライパンに入れ強火で炒め、醤油大1とバルサミコ酢大1を入れ、汁気がなくなり、こんがりしたらお皿に盛る。
牛蒡
性味/辛苦・微寒
帰経/肺肝大腸
適応・作用/口の渇き 舌の粘り 熱を持った腫れもの・できもの 便秘 降圧 コレステロールの排泄と抑制
● のどの痛みがある風邪の漢方薬
またこのタイプの風邪の時には「銀翹散(ぎんぎょうさん)」と言う漢方薬を用います。この漢方薬の主役になっている金銀花(きんぎんか)や連翹(れんぎょう)と言う生薬には「清熱解毒(せいねつげどく)」の効果があり、ウィルスなどの熱毒をやっつけてくれます。
風邪の初期にドラッグストアでも簡単に手に入れることができる漢方薬ですので、是非常備薬として手元に持っておいてくださいね。
風邪は早めが肝心です。「おかしいな」と思ったら、こじらせる前にささっと自分で治してしまいましょう。そして、ヤバいなと思ったら家に早めに帰ってしっかり休みましょうね。
●参考文献
現代の食卓に生かす「食物性味表」 編集:日本中医食養学会 監修:国立北京中医薬大学日本校
「清熱解毒」の板藍根(ばんらんこん)のお茶もおすすめ
人混みに行く前に、大事なイベントを控えている時に、予防に朝晩一袋ずつ飲むのがおすすめ。
https://zuborayakuzen.stores.jp/items/62f353c3bef38140ec9124ed
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田村英子(漢方薬剤師・国際中医師・国際中医薬膳師)
女性のホルモンバランスの変化による心やカラダのゆらぎを支え、健康で不安のない将来を迎えられますよう、日々の生活に取り入れたい薬膳を提案しています。16年の漢方相談歴があり、多くの女性の心とカラダのお悩みに応えている現役で漢方相談をしている女性薬剤師が主催する薬膳セミナーです。
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